東京高等裁判所 昭和47年(ラ)340号 決定
職権をもって審按するに、民法九〇七条二項、三項の規定による遺産の分割に関する処分についての家事審判手続(以下単に遺産分割審判事件という。)においては、共同相続人(共同相続人が死亡した為に同人の相続人が共同相続人の地位を承継して遺産分割審判事件に関与する場合の当該相続人をふくむ。以下同じ。)相互の間には利益相反の関係があると解すべきであるから、親権を行う父又は母とその子とが共同相続人として遺産分割審判事件に関与する場合には、民法八二六条の法意に照らし、親権を行う父又は母は、その遺産分割審判事件につきその子を代理することはできず、代理をしてもその代理行為は適法な追認のないかぎり効力を生じないものというべきでありしたがってかかる場合、親権を行う者は、その子のために遺産分割審判事件についての特別代理人の選任を家庭裁判所に請求すべきものと解すべきである。
(江尻 長利 後藤)